12歳の初恋、 右利きの彼と左利きの僕
- by 左利き at 10月9日(日)14時26分
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中学に入学後、僕は、小学校時代に器楽部で、楽譜が身近な部活に入りたくて、ブラスバンド部に。
僕は、3月の末の生まれで、中学校入学式は、12歳になったばかりでした。
当時は、背が138cmと低く、コンプレックスでした。
学校生活にも、部活動にも慣れ始め、7月に期末テストありました。
学校の図書館はクーラーが使われており、部活動も休みに入り、涼しい図書館で勉強することに。
行ってみると、予想外に混んでいました。 諦めて、帰ろうとすると、
三年生の大きな男の先輩が、手を挙げて、「ここ空いているぞ。」と言ってくれました。
でも僕は左利きなので、こういった場合は、一番端と決めており、「 僕は左利きなので、先輩の肘に当たるので、せっかくですが。」と言ったら、
「 左利きなのか、気にするな。」と言い、半ば強引に横に座らせました。
当時、左利きは稀で、偏見もありました。 それもあり、控えめになっていました。
その先輩の隣に座り、テスト勉強を始めました。
先輩は、「 左利きって、初めて見た。書き方が、ぎこちなくて、可愛いな。」
僕は、「どこがですか。横書きの時は、手が真っ黒になりますよ。右利きになりたいです。」と、言って、手を見せました。
先輩は笑いながら、「 俺が左利きだったら、バレー部のエースアタッカーだったな。」と言いました。
バレー部なので、背が高かったようです。 あの時点で、身長の差は、40cm程でした。
お互いに勉強に戻りました。 ふいに僕の肘が、先輩の肘に当たりました。
僕は、「すいません。 こうなるから、左側に人が居る場所には座りたくないんです。」と言いました。
また先輩は笑いながら、「 気にするな。」と言ってくれました。
そして、「左手で何か書いてみて。」 僕 「えっ、何を書けばいいんですか?」
先輩 「名前を書いて。未だ知らないから。」
僕が名前を書いた後、「 ゆう君ていう名前だったんだね。 俺の名前も左で書いてみてくれるかな?」
僕が、先輩の名前を書いた後、 先輩が 「 左手で書いた名前だと、不思議な感じがする。 この紙を貰っていい?」
と聞きました。今度は、僕が笑いながら、「いいですよ。」と言って、その日は終わりました。
翌日、授業後に、また図書館に行きました。
今度は、空いていました。 端に座ろうとしたら、昨日のバレー部の先輩から、
「 ゆうくん、ここ空いているよ。」と言われました。
先輩なので、断わることも出来ず、言われるままに座りました。
先輩は、「明日のテストは、何?」と聞いたので、
「 歴史と、保健体育です。 保健体育は手をつけていないので、今からします。」
先輩は、「頑張れよ。」と言って、僕は勉強を始めました。
教科書を広げると、先輩は、「懐かしいな、この教科書。2年前と同じだ。」と言い、僕のテスト範囲を見始めました。
そして、「 ゆう君は、もう精通はあった?」と赤面するようなことを聞いてきました。
僕は、「未だです。」 先輩は、「だろうな。 声変わりも、未だだしな。」
先輩は更に僕の保健の教科書のページを捲り、「 発毛は? つるつる?」と聞いてきました。
僕は、赤面し「はい。」とだけ応えました。 先輩は、「 ってことは、ゆう君は、未だ赤ちゃんだな。」と言い、笑っていました。
僕は、ちょっとむっとしたら、先輩が気付き、「赤ちゃんは言い過ぎたな。ごめん。」と言いました。
今度は、僕が先輩を少し、赤面させたくて、聞きました。 「 先輩は、全部ありましたか?」
先輩は、大笑いしながら、「この体格だからな、未だの方が、変だろ?」と言い、赤面させることはできませんでした。
その後、他の勉強をしていると、昨日と同じように、先輩の肘が僕の肘に当たりました。
偶然なのか、わざとなのか、肘を擦りつけて来るようでした。
からかっているのかとも思いましたが、
僕は、なんだか恥ずかしくて、「先に失礼します。」と声をかけたら、
先輩が、「俺も帰るところ。」と言って、図書館を後にしました。
歩くと改めて判る、二人の体格差でした。 40cm近くも小柄な、僕に好意をもってくれている先輩が不思議でした。
二人で歩いていると、同じクラスのバレー部男子の二人を見つけ、声をかけました。
僕の隣にバレー部の先輩がいるのに気付くと、二人の顔がひきつりました。
二人の様子に気付いた先輩が僕らに、「明日のテスト、頑張れよ。」とだけ言い、その場を去りました。
二人に聞くと、その先輩は、後輩の指導係のため、厳しいそうです。
その頃は、後に先輩から手紙を貰うなんて、予想さえしていない無邪気な時期でした。
家に帰り、鞄を開けると、先輩のペンポーチ(ペンケース)が入っていました。
急いで、図書館の机のものを、鞄に入れたので、先輩のペンポーチも自分の鞄に入れてしまったようです。
しかも同じ色のペンポーチだったので。 先輩の家も判らないので、明日の朝、先輩のクラスに行くことに。
三年生のクラスである三階に行ったことはなく、緊張しました。
先輩のクラスが判らなかったので、三階で右往左往していました。
運良く、ブラスバンド部の先輩が通り、助けてくれて、バレー部の先輩のクラスを教えてくれました。
その先輩の教室のドアを開けると、いっせいに視線が僕に注がれましたが、バレー部の先輩が僕に気付き、来てくれました。
そして、僕が 「すいません、先輩のペンポーチが、僕の鞄の中に。 昨日 急いで片付けたから。ペンポーチの中に英語の単語帳も入っていて、
昨日、届けたかったんですが、家が判らなくて。ごめんなさい」と、殆ど、泣きそうでした。
先輩は笑いながら、「気にするな。 図書館に置いてきたかなと思ってたんだ。テスト頑張れよ。 昨日は、エッチなことを興味本位で聞いて悪かったな。また図書館で。」と言ってくれました。
肩を軽く叩いてくれたのが、嬉しかったです。
胸がドキドキして、初恋でした。
場違いな内容の投稿なら、ごめんなさい。 皆様の投稿を読み、僕も書いてみたくなって、書いてみました。