初恋
- by 優 at 12月23日(金)16時23分
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その昔、中学校に入学し、どの部活に入ろうか胸を躍らせていました。
一学年、7クラスで、所謂、マンモス学校でした。
部活動の数も多くて、迷いました。
部活動紹介で、ブラスバンド部が演奏した姿に感動し、譜面もよく読めないような僕が入る
決心をしました。♫
バラスバンド部は、男女ともに入れる部活でしたが、女子部員しかいませんでした。
そこが、少し気がかりでした。思春期ということもあり、迷いました。
でも、演奏の感動が忘れられずに、入ることにしました。
譜面の読み方を習い、腹筋をし、校舎周りがあり、運動部並みでした。
基本的に、ブラスバンド部は、コンクールとマーチングバンドに向けての練習だと
聞いていました。
ところが、その年は、野球部が快進撃を続け、市内大会でも入賞と、のっていました。
それで、ブラスバンド部も野球応援に行き、演奏することになりました。
遠い試合会場だったので、旅館に泊まることになりました。
僕以外の男子生徒は、すべて野球部でした。
寝る時間になり、布団が一枚足りず、あったとしてもひくスペースがない状態でした。
どうやら、伝達ミスで、僕の布団はブラスバンド部員の泊まる女子の部屋にあったようです。
野球部員たちからは、お前(ぼく)は、小柄でまだ一年生だから、女子の部屋に泊めてもらえと
言われ、周りが囃し立て、おろおろしていました。
さすがにそれは、できないと思い、廊下で寝るしかないかなと思っていました。
そんな時に、野球部の部長が、優(まさると読みますが、周りからは、ゆうと呼ばれていました)と
一緒に寝てくれる奴はいるかと聞いてくれました。
だれも、手を挙げてくれず、部長が仕方なく、「しょうがねえな、俺の布団に来い。」と言いました。
周りが笑いましたが、「笑うな、しょうがないだろ。廊下に寝させるわけにいかないだろ。」と一括してくれました。
僕が、「すいません。」というと、「気にするな、お前のせいじゃないんだから、俺は、優と同じくらいの体格の五年生の従弟がいて、
泊まりに来ると一緒に寝ているから、気にするな。」と言ってくれました。
当時、小柄ことを気にしていた僕には、嬉しいんだけど、複雑でした。
布団に入るときに、「おじゃまします。」と言ったら、「お前、面白いな。かわいがってやるか」と冗談を言って
部長は笑っていました。周りは大笑いしていました。「えっ、かわいがるってどういう意味ですか?」と聞いたら、
「まだ知らないんだな。冗談だ、気にするな。」と言ってくれて、それで、打ち解けられたような。
自分は同性が好きなのかもと気づき始めていた自分の心は、どきどきして仕方なかったです。
しばらくすると、部長が「寝られない? 枕使うか?」と聞いてきてくれました。
言葉は乱暴だけど、優しい人なんだと、感動し、ウルウルしてしまいました。
翌日、寝不足の中で、野球練習中に、楽器を吹き、応援してたら、炎天下のため、
貧血を起こして、へたり込んでしまいました。
部長がそれに、気づき、僕をおんぶをして、木陰まで連れて行ってくれて、
ポカリスエットを飲ませてくれて、ジュースを保管するアイスボックスから氷を出し、タオルで包み、額に宛ててくれました。
それから、親しくなり、一緒に帰ったりするようになりました。 密かな恋心が芽生え始めました。
初恋 2)
- by 優 at 12月30日(金)11時16分
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翌日、野球部の部長に、介抱してくれたことへのお礼を言いに行きました。
「気にするな、まだ体が出来上がっていないから、水を多めに飲め。」
と乱暴なんだけど、心に染み入る言葉をかけてくれました。
僕が、「おんぶをして、僕を木陰に運んでくれて、すいません。」と続けたら、
「優は軽かったから、気にするな。」と笑顔で返してくれました。
「あと合宿の時は、布団がなかった僕のために、先輩の布団に寝させてくれて、本当にありがとうございました。」
と言ったら、「それも、気にするな。」と言って笑っていました。
「先輩にお礼がしたいので、僕にできることはありますか?」と言ったら、
「かわいいな。でも、優にできることなんてあるかな。じゃあ、音楽の譜面の読み方を聞きたいから、家に来いよ。」
「わかりました。先輩の家がわからないので、その時は連れて行ってください。」
「じゃあ、土曜日、午後の部活が終わった後、野球部の部室の前で待っているから。」
「待ち合わせって、デートみたいですね。」と冗談のつもりで言ったのに、
「そうだな、でも、そう思ってくれていいよ。」
「えっ!?」
「じゃあ、土曜日な。」
と会話が続きました。
冗談かと思っていたら、冗談ではなかったのです。
初恋 3)
- by 優 at 12月31日(土)15時13分
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土曜日の夕方。
野球部の部室前に行ったら、本当に先輩が待っていてくれました。
「おう、帰ろうぜ。」と言われ、一緒に帰りました。
何を話して、良いのかわからず、先輩の言ったことに頷いているだけでした。
先輩の家に着き、「入れよ。」と言われ、リビングルームに案内され、
ジュースを出してくれて、取り留めないの会話が続きました。
しばらくの沈黙の後、僕が「楽譜の読み方を、教えに来たので、それを。」
「そうだったな。教科書は勉強部屋にあるから、今から行こう。」と言われ、
行きました。綺麗に整頓された部屋で、野球のトロフィーやメダルが飾ってあり、
何時、取得したものかを教えてくれました。
その後、楽譜の読み方を教えていたら、先輩の目線に気づき、
はにかんだら、先輩が、不意に肩を引き寄せ、頬にキスをしてきました。
突然過ぎて、思わず、はじいてしまいました。嬉しかったのに、「何をするんですか。」と
言ってしまいました。「部屋に来たっていうことは、多少 覚悟をしていただろ。」
「していないです。」「でも保健で習っただろ、男の子が男の子を好きになっても、
女の子が女の子を好きになっても変でも、病気でもないって。」と言われ、
「俺は、優のことが好きだ。俺のこと好きか?」「、、、。僕も好きです。でも。」
「だったらいいだろ。」「でもこういうのは、嫌なんです。それに僕、未だ、、あれが
ないから、キスとかHなことは、、、困ります。」 「あれって何?」「あの、、、、精通。」「本当に?」
「はい、、、。」「そうだったのか、ごめんな。声変わりもしていないし、よく考えれば、精通もまだだろうな。」
気まずく、時間が流れました。先輩は僕のことは、もう好きじゃないと思いました。
帰る間際に、「今日は、ごめんな。焦りすぎて。ゆっくり、友達から始めてくれるか。」
と予想外のことを言われました。「はい。」とだけ言ったら、笑顔になり、玄関外まで見送ってくれました。
その後、殆ど毎日、一緒に途中まで帰るようになりました。朝も、待ち合わせたりしていました。
周りで、噂になり始めました。
ある時、野球部とブラスバンド部の合同のミーティングがありました。
終わった後、先輩が不意に
「みんなに告白したいことがある。」周りがざわつきました。
そして、「俺は、ゲイだ。」更にざわつきました。
その後、すぐに「気持ち悪いと思われても仕方がない。部長を退任しても構わない。」
誰かが、「部長は部長だ。」と言い、拍手が起きました。
「ありがとう。 そして、俺には好きな人がいる。噂の通りで、優のことが好きなんだ。」
思いがけない告白で、僕が唖然としていたら、周りから、
「優はどうなんだよ?」「優も部長のことが好きなのか?」と言われ、
「僕も、、、。好きです、部長のことが。」と小声と言ったら、
大拍手が起きました。 部長と僕は、公然の仲になりました。