H体験?談 過去ログ(L-184)
なおとさんの体験?談 (夏の記憶〜20年後の再会〜)


夏の記憶〜20年後の再会〜@

  • by なおと at 7月30日(月)02時49分
  • Number:0730024956 Length:1936 bytes

夏になると思い出す事がある。それまで先入観とか固定概念で生きて来た俺を変える出来事だった。例えばオナニーは1人でこっそりやる行為、セックスは愛し合う男女の行為だと思ってた。特にオナニーに自己の欲求を手っ取り早く満たす他に理由も価値もないと思ってた。でも、違った。

俺が25才だった頃、俺が働く会社では毎年7月8月の2ケ月間2人の社員が地方の関連会社に助っ人として出向する事になってた。その年は違う部署の中村さんと俺に決まった。中村さんは32才の中堅営業マンで社内で会うと挨拶を交わす程度の人だった。その辞令を受けて中村さんに会いに行った。「来月から2ケ月間、よろしくお願いします」「こちらこそ、楽しくやりましょう」そんなぎこちない会話だった。出向先での仕事は技術職の俺にも営業職の中村さんにもあまり縁がない宿泊施設のサービススタッフで、継続して持ってる仕事を2ケ月も中断する訳だし家庭がある人は家族を放置する訳だし学生のバイトみたいな扱いをされるし断わる社員が多かったけど他の社員は8月に1週間程度の夏休み、出向の2人には9月に2週間の夏休みがあって出張手当もあって悪い話でもなかった。

朝7時、羽田空港に集合した。東京の他の営業所や関連会社からも出向する人がいて全部で4組8人で現地に向かった。2組4人ずつ2軒の宿泊施設に分かれた。別の施設の4人とは帰りの飛行機まで会わなかった。同じ施設の調理場に配属された2人とは期間中に何度か顔を合わせたけど仕事で絡む事はなかった。俺と中村さんの2人だけの2ケ月間だった。別棟にある従業員用の部屋は殺風景だった。4畳半ぐらいの部屋が2つ。手前の部屋には安っぽいソファーとテーブルとテレビ。奥の部屋にはシングルベッドが2台あった。入口の脇に簡単な洗面台はあったけどトイレとシャワーは共同。ゆっくり湯船に浸かりたければ営業時間外の大浴場を使う事になってた。学生時代の部活の合宿に近いイメージだった。他のスタッフと一緒にシフトが組まれてて俺と中村さんの休日は毎週水曜日と隔週木曜日。頑張れば2週間に1度は東京に戻れたけど2人とも独身だった事もあって戻らなかった。ちなみに途中で東京を往復すると2回まで会社から交通費の補助が出た。1度も補助を受けなければ臨時手当として2回分の補助と同じ金額が加算された。


夏の記憶〜20年後の再会〜A

  • by なおと at 7月30日(月)02時50分
  • Number:0730025044 Length:2286 bytes

最初の休日、2人で街に出てみた。個人的には慣れない仕事で疲れてたし中村さんは一緒にいて楽しいけど1人になる時間もそろそろ必要だった。実は中村さんも俺と似たような事を考えてた。後から聞いた話だけど街を歩きながら風俗店を探すともなく探してた。結局は見つからなかったらしいけど。俺には風俗で性欲を処理する習慣がなかったから考えもしなかった。一応は有名な地方都市で昼メシ食ったり買物したり適当にブラブラしたけど夕方には部屋に帰った。そのあたりから中村さんの崩壊(?)が始まった。

「こっちに来てから・・・、出した?」
「え?何を、ですか?」
「だから、その・・・、1人でやった?」
「あ〜、やってないですよ」
「それで大丈夫なの?」
「まあ、チャンスもないですし」
「そうだよね」

トイレは気分的に難しかったしシャワーはオープンな造りだった。その時が来ればトイレで済ませる覚悟はあったけど限界まで余裕があった。

「じゃあ、チャンスを作りましょうか?」
「作る?」
「順番に散歩に行くとか・・・」
「それでもいいんだけど、せっかくだからハメを外して・・・」
「外して・・・、何ですか?」
「前から興味はあったんだけど・・・、なかなか踏み出せない事があって・・・」

表情や口調から怪しい誘いだと思った。でも、中村さんは真面目な人だし頼もしい上司だし話だけは聞こうと思った。

「もしかして、エロ系の話ですか?」
「そうなんだけど、引かないで聞いてもらえる?」
「いいですよ、何でしょう?」
「前に雑誌で見たんだけど、男同士のセックスって、クセになるんだって」
「中村さんって・・・、そうなんですか?」
「そうじゃなくて、ホントかなあ?って」
「それって、アナルセックスって事ですよねえ?」
「具体的にはそうなんだろうけど、他にもパターンはあるみたい」
「どんな、ですか?」
「ん〜、69とか・・・、扱き合うとか・・・、最初は見せ合うとか?」
「いや〜、難しくないですか?」
「でもね・・・、」

中村さんが雑誌や深夜番組から得た情報に持論を足して俺に色々と解説してくれた。その話から俺が感じた中村さんの印象はやっぱり真面目な人だった。兄弟がいない俺にとっては上司だけじゃなくて兄貴みたいな感覚も加わった。中村さんは男に興味があった訳じゃなくてあくまでも男同士の性的な時間の過ごし方に興味を持ってた。あと、人は誰でも全ての感情を持ってて、自覚症状があるかないかの違いで性格や趣味嗜好や生活に表れる生き物だとか。その「趣味嗜好」には性癖も含まれてて、同じ行為なのに人によって賛否が分かれるらしい。そんな哲学的な話も今から考えれば中村さんの洗脳の手段だったのかもしれないけど少なくとも俺のその後の人生に影響を与えた事は明確だった。


夏の記憶〜20年後の再会〜B

  • by なおと at 7月30日(月)02時51分
  • Number:0730025127 Length:1847 bytes

「って事は、アナルセックスを汚いって思う人と快感になる人がいるって事ですか?」
「そうかもしれないし、汚い事が快感になるのかもしれないね」
「でも、どう頑張っても、さっき言ってた見せ合うとか扱き合うのがギリギリですかね〜、今は」
「今は?」
「だって、新しい自分に出会う可能性もあるんですよね?」
「ああ、そうか、そうだね」
「中村さんは何をしたいんですか?」
「とりあえず、溜まってるからオナニーしたい、かな」
「それぐらいならできる、かな」

誰かの前でオナニーする、誰かのオナニーを目撃する・・・。考えもしなかった事が始まろうとしてた。

「どこでやろうか?」
「やっぱ、ベッドじゃないですか?」
「じゃあ、あっち行こう」

それぞれ自分のベッドに腰かけた。膝と膝が当たる距離だった。

「ちゃんと見たいし、ちゃんと見られたいから1人ずつやらない?」
「もう、ここまで来たら任せますよ」
「じゃあ、俺が先にやるね」
「はい」

中村さんはベッドの上に乗った。俺に背中を向けて膝立ちの姿勢になってチノパンを膝まで下ろした。トランクスの中に両手を入れて静かにオナニーを始めた。徐々にトランクスも下げて尻が丸出しになった。奇妙な光景だと思った。でも、不思議と嫌悪感はなかった。中村さんの人柄もあっただろうけど、何よりも普段は見る事がない他人のオナニーに対する好奇心が勝ってた。一旦、姿勢を崩して下半身は完全に脱いだ。その後は膝立ちに戻ったり左手をベッドに突いて四つん這い(正確には三つん這い)になったり天井を見上げたり・・・、相変わらず俺には背中や尻を向けたままだったけど確実に俺の目の前で中村さんは自分のペースでオナニーを続けた。

「気持いいよ・・・、こんなの・・・、初めてかも」
「恥ずかしくはないんですか?」
「それが・・・、いいみたい」

見られると気持いいんだ?と思った。もちろん人によるんだろうけど俺には純粋に新発見だった。時々キュッと締まる尻、漏れる声、首筋を流れ落ちる汗、その1つ1つが芸術にさえ思えた。不覚にも俺は勃起してた。男のオナニーを見て勃起する自分に少し戸惑ったけど、中村さんの行為に俺自身を投影した結果だったのかもしれない。もっと見たいと思った。


夏の記憶〜20年後の再会〜C

  • by なおと at 7月30日(月)02時52分
  • Number:0730025209 Length:2793 bytes

「こっちを向けますか?」
「いいけど・・・、なんか、すごく興奮してるよ、俺・・・」

正面から完全に勃起した中村さんのチンコを見た。先端は濡れてた。中村さんはTシャツを脱いで全裸になった。火山が噴火したみたいに右手の動きが一気に激しくなった。32才の真面目な男が俺の目の前で全裸でオナニー・・・。苦しそうだけど穏やかな表情がたまらなかった。息遣いや声がより一層力強くなった。最後は仰向けになって腹に発射した。最初の発射は顎まで飛んだ。2回目3回目と飛距離を縮めながら飛ばした後もダラダラと溢れ出た。

「やばいよ、最高だよ・・・、オナニーがこんなに気持よかったなんて・・・」
「俺も、なんか、感動って言うか、感じちゃって、勃ってます」

果ててしまった後の虚しさは見えなかった。フルマラソンを走り切ってゴールで倒れ込むランナーみたいだった。同時に次は俺の番だと思うとドキドキともワクワクともソワソワとも違う、初めて乗った飛行機が滑走路を走り出す瞬間みたいな気分だった。中村さんはティッシュで精液を拭き取りながら少しはにかんだ笑顔だった。Tシャツを着てトランクスを穿いてティッシュの箱を俺に投げた。俺も中村さんを真似て背中を向けて下半身を脱いだ。ビンビンのチンコは脈拍が計れるぐらいにヒクヒクと動いてた。尻を見られてる・・・。そう思うだけで発射しそうな勢いだった。露出狂ではなかったけど見られる快感を思い知った。徐々に扱き始めた。さっそく俺は全裸になった。普段のオナニーとは比べられない全く別の興奮だった。

「俺、こんなの初めて見たよ、悪くないね」
「俺もさっき、初めて見ましたよ(笑)」

そんな会話が余計に俺の気分を上げた。全裸でオナニーする事なんて滅多になかったし、全裸になる事で全てをさらけ出してる現実に気が狂いそうだった。窓に俺がぼんやり映ってた。俺の向こうに中村さんの肩や腕が少しだけ見えた。今どんな姿が中村さんに見えてるんだろう?自分の裸には何も感じなかったけどどんな風に見えてるのか妙に気になった。

「そろそろ、こっちを向いてよ」
「あ、そうですね」

俺は向きを変えてベッドの縁に座った。中村さんはベッドの上にいた。1メートルの至近距離から俺を見てた。正直、俺がどんなオナニーを繰り広げたのか記憶が薄いけど最後はそのまま後ろに倒れて足を中村さんのベッドに乗せて仰向けでイッた。色んな声が出たと思うけど言葉ではなかった。何を言えばいいのかわからなかった。ただ、頭の中は意外と冷静だった。オナニーが単なる性欲処理の手段じゃなくて1つのプレイとして成立する事、相手が同性だから成立する事。例えば相手が交際中の女だったり風俗の女だったり年下の男だったら俺は違う感情を持ったと思う。個人差はあるだろうけど俺の場合は中村さんだったから肯定的に受け入れられた出来事だった。

「なんか悪かったね、こんな事につき合わせちゃって・・・」
「なんで今まで知らなかったんだろう?って・・・、こんな簡単だけど気持いい事(笑)」

その夏は何度か、いや、何度も中村さんと一緒にオナニーした。2日続いた事もあった。あくまでもオナニーであって、相手の体に触れる事はなかった。これが最初に中村さんが言い出した「男同士のセックス」だったのか?それは違うと思った。でも、2人ともオナニーの先に進む気はなかった。その時はそう思ってた。


夏の記憶〜20年後の再会〜D

  • by なおと at 7月30日(月)02時53分
  • Number:0730025326 Length:2717 bytes

東京に戻って2週間の夏休みを過ごした。中村さんは帰省すると言ってた。実家暮らしだった俺は地元の友人と会ったり買物に行ったり、穏やかなオフの時間だった。たまに中村さんとのオナニーを思い出すと勃起して、勃起したらオナニーした。何かが足りない気もしたけど、それが中村さんの視線だったり中村さんのオナニーする姿なのはわかってたけど、どうする事もできなかった。1度だけ他人の話として友人に聞いてみた。

「会社にさ、男同士でオナニー見せ合うと興奮するって言う人がいるんだけどさ、ホントかなあ?」
「んな訳ないだろ?見たくないし見られるのは恥ずかしいし」
「そんな経験、ある?」
「ないよ、ないない、俺、ホモじゃねえし」
「だよな」

ホモ?当時はゲイって言うよりホモって表現が主流だった。中村さんの本心はわからないけど俺は勝手に男2人で行くボーリングとかカラオケの延長線上だと思ってた。アナルセックスはアウト、キスはグレー、オナニー見せ合うのはセーフ、そんな認識だった。いや、そう思うようにしてただけかもしれない。ただ、中村さんに対して性的な感情や恋愛感情はなかった、はず。一目惚れとか告白されたみたいな一瞬で世界が変わる突発的な恋だけが恋じゃなくて、気がついたら好きだった・・・、それも恋なのか?って事は俺は男が好きな男、つまりホモなのか?確かに他の誰かに中村さんと同じ事を言われても断わってたかもしれない。中村さんに抱かれたいとは思わないけどキスならできるかな?とか思う自分もいた。考えても結論は出なかった。8月末に羽田空港で別れたきり、次に中村さんに会うのは9月の終わりだった。

技術職の俺は自社の工場や下請け企業を営業職の中村さんは取引先を回る事が多くて仕事上の接点はほとんどなかった。携帯番号は交換してたけどSNSが今ほど当たり前じゃない時代で時間だけが流れた。月末の報告書を作ってて定時を大きく超えて会社を出た時、中村さんが自分の部下を連れて会社に帰って来た。

「おお、久し振り」
「お疲れ様です」
「よかったらメシでも行かない?」
「いいですね」
「じゃあ、待ってて、15分ぐらいかかるけど、いい?」

俺は会社の前のガードレールに座って待った。中村さんは部下と出て来て、部下は駅に向かって歩いて行った。

「今の奴(中村さんの部下)、25才だから君と同い年だよね?」
「そうですね」
「さっき聞いてみたんだよ」
「何を、ですか?」
「君との事を・・・」
「え?言ったんですかぁ?」
「違う違う、男同士で見せ合った事ある?って」
「疑われちゃいますよ」
「雑誌に書いてあったって言ったから大丈夫」
「で、何て言ってました?」
「あり得ない、気持悪いってさ」

俺と同じだった。友人や部下に聞いて否定されて自分がおかしいのか?って不安になってるのが逆におかしかった。と同時に中村さんを意識し始めた瞬間だった。俺も友人に話した事を伝えた。アウト・グレー・セーフの独断で決めた基準も話した。中村さんは笑ってた。

「キスはグレーって、面白い発想だよね」
「気持次第って意味ですよ、グレーだと思えばグレーって」
「酔っ払ってキス魔になる奴もいるしね」
「そうそう、キスなら悪ふざけで終わるから」
「じゃあ、してみる?」
「じゃあ、飲みに行きましょう(笑)」


夏の記憶〜20年後の再会〜E

  • by なおと at 7月30日(月)02時54分
  • Number:0730025413 Length:2240 bytes

キスはともかく、2人の頭の中には夏の記憶が鮮明だったと思う。そんな事もあってか中村さんの部屋に行く事になって中村さんが止めたタクシーに乗り込んだ。ぎこちなく世間話を俺に振る中村さんがおかしかった。そんな俺は妄想が進んで徐々に鼓動が早くなる気がした。タクシーが揺れるたびに膝が当たった。すぐ近い将来、って言うか30分後か1時間後に起こるだろうと思われる出来事を考えると勃起してた。コンビニの前でタクシーを降りた。弁当と酒と適当に肴になる物を買って少し急ぎ足で歩く中村さんについて行った。ほとんど無言だった。エレベーターの中で2人きりになった。4階だか5階だか忘れたけど数字のランプが横に移動するのを見上げながら中村さんに言われた。

「俺はそのつもりで誘ったんだけど、いいんだよね?」
「いいんですよ(笑)」

弁当を食いながら缶ビールを飲んだ。2ケ月間の共同生活の雰囲気がそこにあった。心地いい空気だった。あのオナニーが忘れられなくて思い出しては興奮してた事を伝えた。中村さんも似たような事を言ってた。恋愛ではなくて単純に行為を楽しむ関係でいいんじゃないか?それならそれでいいんじゃないか?それが俺の結論だった。結婚して子供ができて・・・、そんな未来は欲しかった。もし中村さんが俺を恋愛対象として見てたら・・・、それには応じられないと思った。上司と部下、先輩と後輩、友人同士、兄弟、どんな形でもいいけど恋人は違う気がしてた。

「中村さんって、彼女とか、いるんですか?」
「俺、結婚してるし」
「へ?そうなんですか?」
「そうだよ、俺は単身赴任」
「独身だって言ってませんでした?」
「1人暮らしって言ったはずだけど・・・」

なんだよ。もっと早く聞けばよかった。中村さんの奥さんと5才の息子は中村さんの実家で暮らしてた。夏休みで実家に帰った時には普通にセックスもしたらしい。急に気が楽になった。

「XXXX(夏に出向してた場所)で男同士のセックスの話をしたけどさ」
「してましたね、興味あるって」
「楽しく気持よくオナニーできればいいのかな、って」
「俺もアナルセックスはちょっと・・・」
「よかった、迷惑じゃなかったらオナニーはやりたいなあ、もっと」
「いいですよ、俺もしたいです」
「キスもしてみる?」
「あくまでもキスを楽しむキスなら(笑)」
「キスはグレーだしね(笑)」

軽く唇を合わせた。唇の感触を確かめる程度のキスだった。月に何度か中村さんの部屋に行って最初にキスしてからオナニーを始めるのが一連の行為の流れとして1つの形になった。その内に俺に彼女ができたけど中村さんとの関係は続いた。1人ずつオナニーしたり一緒にオナニーしたり、2年ぐらい続いた。


夏の記憶〜20年後の再会〜F終わり

  • by なおと at 7月30日(月)02時55分
  • Number:0730025500 Length:2401 bytes

中村さんが実家の近くの営業所に異動になった。肩書きが1つ上がる栄転だった。当たり前だけど2人は会わなくなった。電話も手紙もないまま10年以上も経った。俺は別の会社に転職した。実家を出て結婚もした。離婚もした。何度か引っ越したり携帯を変えたりする内に中村さんの住所も電話番号も失くしてしまった。完全に遠い記憶の1つだった。

中村さんと離れて以降はオナニーは1人で、セックスは彼女や奥さんと、普通に暮らす毎日だった。39才か40才の夏、中村さんとのオナニーを思い出した時に急にどうしても誰かとオナニーしたくなった。あの感動(快感?)が懐かしくて仕方なかった。ネットで相手を探してゲイの青年と会った。一緒にオナニーした。他の行為も誘われて色々と試した。その青年がタチ寄りだった事もあって俺はバックで受ける事もあった。でも、その逆はどうしてもできなかった。攻められるのは嫌いじゃなかった。手や口でイカされる事もあった。それはそれで気持よかったしバックで受けるのも嫌いじゃなかった。俺にはゲイの素質があったのかもしれない。今でもゲイの自覚はないけど心と体は別なのか、その青年の他にも何人かと会った。でも、つき合おう、同棲しよう、そう言われると冷めてしまう自分がいた。

47才の夏だった。頻度は落ちたけどネットで相手を探して性欲を満たしてた。ただ、中村さんとのキスから始まるオナニーを超える事はなかった。中村さんに会いたいなあ、と漠然と思うだけで中村さんを探さなかったし会えたとしても50才を過ぎた中村さんと同じ事ができるとも限らなかった。そんな時、昔の会社の同期と会った。更に出世した中村さんは家族を連れて東京に来てて、その同期の上司になってた。電話番号を教えてもらった。翌日、思い切って電話を入れてみた。

あの日、中村さんを待ったガードレールに座って中村さんに言われた時間を待った。54才になった中村さんが会社から出て来た。会うのは20年振りだった。俺は独身、中村さんは既婚、それは20年前と同じだった。俺んちに誘った。俺がタクシーを止めて2人で乗り込んだ。運転手さんがいる事もあって当たり障りのない会話だったけどタクシーが揺れると膝が当たるのは同じだった。ただ違うのは俺がオナニーの先の行為まで経験してしまった事だった。考えてみれば、あの夏の日に中村さんに誘われなければ知らなくて済んだ世界だった。俺んちに着いて2人きりになった。俺は別に言う必要もなかったけど全てを話した。

「俺の責任もあるよね・・・」
「いやいや、自分で選んだ道ですから」
「でも、やっぱり、俺のせい・・・、かな」
「それはそうかもしれないですけど、その経験があって改めてわかった事もあるんですよ」
「それは、どんな事?」
「中村さんとキスしてオナニーするのが1番だな、って(笑)」

47才と54才のオジサン2人は20年振りにキスした・・・。